足音を忍ばせて、サクラ姫は神官様の寝顔をのぞきこみました。長いまつげの白い顔は、このところの心労で、うっすらとやつれて見えます。
「連日、大変だったからな…。」
「兄様も。大丈夫？」
「オレか…？」
王は笑って、神官様の髪をそっと撫でました。
「雪兎がいるからな。」
「うん。
雪兎さん、早く元気になって下さいね。」
花の香りの四阿に温かな風が吹きます。
「鈴音草」end
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サクラ姫が鉢植えを抱えて戻ると、兄王は人差し指を唇に当てて見せました。美しい四阿には急ごしらえの帳が巡らされ、その中で、王は寝椅子に腰を下ろし、膝に神官様を休ませています。 足音を忍ばせて、サクラ姫は神官様の寝顔をのぞきこみました。長いまつげの白い顔は、このところの心労で、うっすらとやつれて見えます。 「連日、大変だったからな…。」 「兄様も。大丈夫？」 「オレか…？」 王は笑って、神官様の髪をそっと撫でました。 「雪兎がいるからな。」 「うん。 雪兎さん、早く元気になって下さいね。」 花の香りの四阿に温かな風が吹きます。 「鈴音草」end |