「雪兎さん、もう休んでください。
私、兄様に叱られます。」
神官様のお茶は、とても良い香りがしました。
「お茶も薬のうちですから…」
病は疲れからくるもので、心配はない事、王が朝見の儀式を終えてすぐにこちらを訪れた事を話し、神官様は改めて姫にお礼を申し上げました。
ほっと安心した姫は、お茶をいただきながら、ふと傍らの小さな鉢植えに目を留めました。針のように細い葉を持った苗が一株、よく見ると小さな蕾がたくさんついています。
「可愛い蕾…どんなお花が咲くんですか？」
ほんの少し、思いを巡らせるお顔をなさって、神官様は鉢植えを手にしました。
「差し上げましょう。恥ずかしがり屋な
花ですが…。咲けば、よい薬が取れます。」
「私がお世話しても、いいんですか？」
「はい。姫様なら花も開いてくれるかもしれません」
神官様の優しい笑顔に、姫はほっとして暇を告げました。