桃矢王は見つめていました。
煌びやかな儀式と宴の主賓を務めた王は
少しばかり疲れ、そして…
『王には、何やらお気持ちが塞がれたご様子…』
重い正装を解く頃には、側近い小姓達がささやくほど。
『いつものようにお笑いくださらぬ』
『恋の病のように重い溜息をつかれて』
『さては、どちらかの姫君を見初められたか』
その時、静かな声で王への取次ぎを求める人がおりました。
小姓の一人が恐る恐る声をかけます。
「王様。神官様がお目通りを願いたいと────」
|
ひとつ、またひとつ、と街の明りが消えていくのを 桃矢王は見つめていました。 煌びやかな儀式と宴の主賓を務めた王は 少しばかり疲れ、そして… 『王には、何やらお気持ちが塞がれたご様子…』 重い正装を解く頃には、側近い小姓達がささやくほど。 『いつものようにお笑いくださらぬ』 『恋の病のように重い溜息をつかれて』 『さては、どちらかの姫君を見初められたか』 その時、静かな声で王への取次ぎを求める人がおりました。 小姓の一人が恐る恐る声をかけます。 「王様。神官様がお目通りを願いたいと────」 |